Frontier in Biofunction of Nucleic Acid and Organic Chemistry

Research



■ Expansion of Triplex Recognition Codes
  “3本鎖DNA形成人工核酸の合成と遺伝子を標的とした核酸医薬品への展開”

 

 遺伝子解析技術の革新的な進展により、遺伝子情報を利用した病気の診断や治療に関する研究が盛んに行われている。遺伝子を含む2本鎖DNA中の小さなキズがmRNAに転写され、タンパク質に翻訳されることにより様々な疾患の発症に関与与していることが明らかにされ、これらの遺伝子発現系を制御可能な分子による疾患の治療法の検討がなされている。
遺伝子発現系を標的とした核酸分子の創製は、次世代の医薬品「核酸医薬」として近年注目を集めている。2018年8月に米国及び欧州で承認された世界初のsiRNA核酸医薬品をはじめ、現在承認されているアンチセンス核酸や臨床応用が検討されている核酸医薬のほとんどが1本鎖RNAを標的としている。多様な機能を有するRNAは遺伝子発現制御には画期的な標的であるが、RNA調節機構の複雑さが明らかになるにつれて、今後はRNA制御の根幹となる2本鎖DNAを標的とした創薬開発の重要性が再認識されると考えられる。3本鎖DNA形成を基盤とするアプローチは、その形成配列に根本的な制限があるためほとんど検討されていないが、病気に関与している異常遺伝子のみに直接作用し転写の段階を制御できるため、次世代の核酸医薬(アンチジーン核酸)として注目すべき手法である。

   AMED:先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業
   ・科研費:基盤研究(A)、分担(代表:宮田完二郎) 2020〜2023年度
   ・AMED: 先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業、代表 2019〜2021年度
   ・科研費:基盤研究(B)、代表 2019〜2022年度
   ・科研費:基盤研究(B)、代表 2016〜2018年度
   ・科研費:挑戦的萌芽研究、代表 2014〜2016年度
   ・科研費:若手研究(A)、代表 2012〜2015年度


■ Adap as a Selective Recognition molecule for 8-oxodG in DNA
  “遺伝子損傷部位を特異的に認識する分子の開発  (8オキソグアノシン認識分子)”

 

 8-OxodGは、ストレスや活性酸素種(ROS)によりグアニン(dG)の8位が酸化されて発生する代表的な酸化損傷塩基である。DNA中の8-oxodGは、シトシン(dC)のみならずアデニン(dA)とも塩基対形成可能なため、DNA複製の段階でGC塩基対からTA塩基対へのトランスバージョン変異を誘発することが知られている。このような変を誘発する8-oxodGは、ガン、加齢やアルツハイマー病などの神経変性疾患との関連性が示唆されている。その為、その代謝や修復過程で分泌された8-oxodGの血中、尿中などの量は、優れたバイオマーカーであり様々な検査キットが市販されている。本研究では、これまで知られている代謝産物の検出法では無く、8-oxodGの存在をDNA配列選択的に検出可能な、新規検出・診断技術の開発を目指し、独自の人工核酸を用いた世界初の「DNA中8-oxodG特異的検出法の確立」する。

   JST:創発的研究支援事業
   ・JST:創発的研究支援事業、代表 2021〜2023年度、2024〜2027年度
   ・科研費:挑戦的研究(萌芽)、代表 2017〜2019年度
   ・科研費:挑戦的萌芽研究、代表 2012〜2013年度


■ Mimic of nucleic acids
  “擬天然核酸分子の創成”